《速報》第10回川ごみサミットを開催しました

2024年12月21日(土)、同志社大学東京サテライトキャンパス(東京都中央区)にて、オンライン併用で「第10回川ごみサミット」を開催しました。

今回は、10回目の節目を迎えるにあたり、『川ごみ対策これまでの10年、これからの10年』をテーマに、各方面からの報告や話題提供、オンラインも含めた参加者と共に意見交換を行いました。
市民、市民団体、業界団体、行政、研究者など約70名が参加し、共に水辺のごみ削減のこれからに向けて考えました。


【第1部】これまでの10年
 当ネットワーク理事の近藤朗(22世紀奈佐の浜プロジェクト委員会)より、「川ごみ対策 これまでの10年 全国川ごみネットワークはどのような役割を果たしたのか」と題して、国内および国際的な海洋プラスチック汚染対策の動向と重ねた成果をふりかえりました。

 同理事の小口智徳(下諏訪町諏訪湖浄化推進連絡協議会)は、海なし県である長野県の子どもたちが、諏訪湖の水の流出先である海ごみを体感する活動を当ネットワークの団体の連携により実行できたこと等を、活動映像と共に紹介しました。長野県の親子の活動の様子や、思いを伝えるコメントが印象的でした。


 国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 林利行企画専門官からは、国土交通省が取り組む川ごみ対策を具体的な事例を交えて紹介。積極的に取り組むことが求められる今後の取り組み方策等が伝えられました。

 その後の意見交換では、ごみ回収量の推移や対策の効果、時間軸として長く考えなければならないことなどが話されました。
(意見交換の内容については、後日報告書にて)


【第2部】ごみ対策のこれから
大きく2つのテーマに分けてそれぞれで、話題提供と意見交換を行いました。
(1)マイクロプラスチック(MP)の流入を防ぐ
 農林水産省 農産局 技術普及課 生産資材対策室 肥料ユニット 栗山辰哉課長補佐は、
「プラスチック被覆肥料の肥料殻の流出防止について」と題し、農林水産省における取組として肥料袋への表示や様々な代替技術事例等を紹介。農畜産業プラスチック対策強化事業についても説明されました。

 当ネットワーク理事の小島あずさ(一般社団法人JEAN)は、20年以上も前からプラスチック肥料殻の漂着が確認され、研究者や販売企業、業界団体とも面談し認識されていたこと。20年以上経過したが現場の改善は実現していないことを紹介。

 環境省 水・大気環境局 海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策中山直樹室長は、マイクロプラスチックの海洋流出防止・代替素材展開に関する政府方針などを報告。人工芝関連については、プラスチック・スマート懇話会で議論し、対策の啓発をしていることなどが伝えられました。

 当ネットワーク理事の日向治子(山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト)からは、スポーツ用施設の人工芝から流出する問題、自治体への人工芝導入状況アンケート等について紹介しました。



 その後の意見交換では、前半は被覆肥料カプセル、後半は人工芝について話されました。対策は考えられていても現実としてはその対策に取り組めずに流出し続けている現状。その責任の所在などについて、オンライン参加者からの情報なども交え、共に考えました。


(2)流域環境を見守る仕組みを考える
 山梨大学 風間ふたば名誉教授からは、私たちはどんな水環境を望んでいるのかの視点に立ち、市民レベルでの水質一斉調査、ごみマップ、水環境指標、行政レベルでの流域治水などの取り組みについて説明がされ、総合的な水環境マップづくりの提案も示されました。



 最後の意見交換では、プラスチックは便利だから使われている現実で企業も努力していること、まちや道路での状況等も紹介されました。マップを作ってみなで川を考えるツールとしていくこと、アプリの活用などの様々な話題で、これから皆でつくる流域環境について情報を共有し、共に考えました。


最後にまとめとして、同志社大学経済学部の原田禎夫准教授から、
 肥料カプセルばかりではなく、川ごみ全般について、法的に「ごみ」と位置付けられていなくて、その責任の所在がとても困難であること。
 マップなどでも市民参加型調査や市民科学などいろんな人が参加できるようの仕組みがあるとよいこと。
 もはや「プラスチック汚染」と言い切ってもよい問題となっているのではないか。
など、まとめのお話をいただきました。


■主 催:全国川ごみネットワーク
■協 賛 :一般社団法人プラスチック循環利用協会
■協 力 :同志社大学、株式会社ATSURAELU
■後 援 :国土交通省

※本イベントは、公益財団法人河川財団による河川基金の助成を受けて開催しました