川ごみを見て・感じて・伝える

 10月21日(木)葛飾区立宝木塚小学校で、川ごみの出前授業を行いました。対象は4年生の96人です。この日は、朝一番にまず荒川に行ってごみの状況を見学した後、学校に戻って授業を受けるというものでした。

 荒川は学校から歩いて30分程度で、秋晴れの中、ちょっとした遠足気分で、児童たちも楽しんでいる様子です。川というのは自分たちが住んでいる地域の近くにありながら、余りそばまで行ったことがないもので、これは宝木塚小学校の児童たちにとっても同じです。街で出会う人たちに元気良くあいさつしながら歩いて行くと、もう荒川の堀切水辺公園に到着しました。
 


 
■荒川でのごみの見学
 まだまだコロナ感染の油断ができないため、ごみを拾うのは当ネットワークと、先生方の大人だけに限り、児童たちは学級ごとにごみの様子を見学します。川岸の遊歩道脇には、空き缶やびん、ペットボトル、お菓子や食品の包装、食品のトレイなどが見られます。「このごみはどこから来たと思う?」と問いかけてみると、「上流から流れて来た」、「散歩してる人がポイ捨てした」と元気のいい答えが返って来ます。タイヤを発見して、なぜタイヤがこんなところにあるのだろうと驚いている子もいました。
 遊歩道の上には、木のかけらや枯草、土に混じって、プラスチックの小さな破片が見られる場所があります。マイクロプラスチックを実際に川で見ることができたのは貴重な経験でした。
   

  
■学校に戻って授業
 学校に戻ってからは、スライドを使っての授業です。街の中のごみが色々な形で川に入って来て川のごみになること、川のごみは海に流れ出て世界を巡ること、海のごみが魚やアザラシ、イルカ、亀、鳥など多くの生物を苦しめていること、プラスチックは小さな破片になってもなくなってしまうことはないことなど多くのことを学びました。私たちの出しているごみが生物を苦しめていることに衝撃を受けた児童も多かったようです。
 イルカやアザラシが網に絡まってしまうと、そこから抜けるのがとても大変だという体験もしてもらいました
川や海のごみを少しでも減らすために、私達には何ができるのかも考えてもらいました。
ポイ捨てをしない、プラスチックは捨てないでリサイクルする、水筒を使う、ペットボトルには水を入れて何度も使う、ごみ拾いをする、家族に今日の話をするなどの意見が出されました。
 今日の授業に参加した皆さんは、ごみに関心を持って、きれいな水辺を大切にする大人になってくれると思います。
 

 
■児童の感想
 児童は、授業に参加して感じたことなどをメッセージカードを通じて、お母さん、家族、お友だちなどに伝えました。

 
◎メッセージ(一部抜粋)
・お母さんへ:荒川には、プラスチック、紙ごみなど色々な種類のごみが落ちています。川に捨てなくても、街で荒らされたごみや、ごみ箱から溢れ出たものが排水溝に落ちるなどして、川、海に流れ着き、生き物が困っています。街にごみを捨てないように心掛けて下さい。
・家族へ:ごみを捨てることで、沢山の魚の命が奪われます。クジラも6kgくらいのごみを食べています。
・世界中の皆さんへ:ポイ捨ては川の生態系を壊し、そのごみが海に行って生物が苦しんで死んでしまうから、世界中のみんなで協力してちょっとでも良い世界にしましょう。
・沢山のごみが流れていたり、落ちていたりしました。ママはポイ捨てしないもんね。ママはペットボトルに水を入れて冷やして飲んでいるので、私も真似したいと思いました。これからも続けて下さい。


気づいたこと、思ったことなどもそれぞれふりかえりました。
◎荒川河川敷に行って気付いたこと、考えたこと(一部抜粋)
・荒川の周りにごみが多く、特にプラスチックが沢山あった。
・ペットボトルとマイクロプラスチックが多かった。
・ごみが思ったより多くてびっくりした。
・目に見えないプラスチックも沢山あるんだろうなと思った。
・川の周りにごみが沢山あるから、川の中にもごみは多いのかなと思った。
・プラスチックやたばこの箱などが沢山落ちていてびっくりした。
・流れて来たとは思えないタイヤもあった。
・お菓子の袋や食品トレイは、ここに来た人が捨てたものもあるかも知れない。
・川の中にもごみが沢山あるのかどうか知りたい。
・なぜ川の近くにごみが一杯あるのか疑問に思った。
・荒川には、ごみを取り除いてくれる装置はないのかと疑問に思った。


◎話を聞いて考えたこと、思ったこと(一部抜粋)
・クジラを解剖したら6kgものごみが出て来たのは、人がごみを捨てるからだと思った。
・人が捨てたごみに魚が絡まったり、魚が食べて死んでしまったりするのだと思った。
・魚がプラスチックごみを飲み込んでしまったり、引っ掛かってしまうことがあるのは知っていたが、クジラが5kg以上のごみを飲み込んでいることもあるなんて知らなかった。
・街のごみが川や海に流れて、生物を危険な目に遭わせているので、ポイ捨てをやめ、街のごみ箱が一杯になっていたら無理に捨てずに持ち帰ろうと思った。
・使えるものはリサイクルしようと思った。
・海にいる生き物が可哀想だと思った。
・亀が死ぬのは怖いし、苦しんでいるなら助けてあげたい。
・川の衛生環境を整えれば、少しは魚も楽になるのかなと思った。

 
※この日の活動は、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金企業協働プロジェクト(LOVE BLUE助成)を受け実施しました。