全国川ごみネットワークも参加している減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバー及び賛同20団体は、9月1日に政府より示された「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」(「基本的方向性」)について、10月13日に、笹川環境副大臣に対し、深刻なプラスチック汚染を確実に解決できるような指針としていくよう求める、小泉環境大臣、及び、笹川環境副大臣宛ての共同提言書を提出しました。
日本で発生する廃プラスチックの47%が、ほぼ使い捨て用途の容器包装である中、容器包装を中心にプラスチック製品の生産総量を大幅に削減(リデュース)することと、そのための社会システムの構築が、喫緊の課題です。しかし、基本的方向性では、「リデュースの徹底」といった言葉は使われているものの、実質的には、代替品利用とリサイクルの推進、そして 熱回収が解決案の中心となっています。
そこで、 ― 代替品や熱回収より「総量削減・リユース」を ― の以下の提言です。
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環境大臣 内閣府特命担当大臣(原子力防災) 小泉 進次郎 殿 環境副大臣 「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」への共同提言 賛同団体 (五十音順) 日本で発生する廃プラスチックの量は、年間891万トンと世界で3番目に多いが、その内735万トン(82%)を、熱回収を含む温室効果ガスを発生させる焼却処理や、海外輸出、及び埋め立てに依存している*1。また、廃プラスチックの47%は、ほとんどが使い捨て用途の容器包装・コンテナ類(以下、「容器包装」)であるが*1、コロナ禍の状況下で、発生が増加傾向にある。容器包装を中心に、バージン材によるプラスチック製品の生産総量を大幅にリデュースすること、及び、それを可能とする社会システムを構築することが、喫緊の課題である。しかし基本的方向性では、「リデュースの徹底」といった言葉は使われているものの、実質的には、代替品利用とリサイクルの推進による、結果的な削減を見込んでいる。 上記を踏まえ、以下の通り循環型社会形成推進基本法で示された、 また世界で最も広い範囲に海洋ごみが集中して漂う、日本の国土の4倍以上の広さの「太平洋ごみベルト」と言われる海域においては、ごみの総量の46%をプラスチック素材の 漁網が占めており、また、文字が認識できるごみの1/3に日本語が記載されていた*2。漁網等の漁具など海域より発生するものが、海洋プラスチックごみ全体の1から2割を占めており、漁具の流出抑制や回収、適正処理の促進も、優先度の高いプラスチック資源施策として含めるべきである。そして、国際的なプラスチック汚染問題を解決するための国際的な枠組みが存在しない状況下において、法的拘束力のある国際協定の締結に向けて、日本がリーダーシップを発揮していくことが強く期待されている。 ついては、減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバー及び賛同20団体は、以下の通り提言する。 1. 総量を削減するための実効性のある政策の早期導入 2. 容器包装分野における、リユースを基本とした仕組みの導入 3. 拡大生産者責任制度の確立 4. 代替品の位置づけ見直しと、持続可能性の確保 5. 漁具等、海域で使用するプラスチックの管理施策の促進 6. 法的拘束力のある国際協定締結の推進 上記の提言を基本的方向性に取り入れることにより、プラスチックを使い捨てにする社会から早期に脱却し、リデュース・リユースを基本とした社会に移行することが、プラスチック 汚染を防ぎ、脱炭素社会を目指すためにも必要不可欠である。これは、ウィズコロナ、ポストコロナの社会で求められる「グリーンリカバリー」を実現することにつながり、地球の再生能力の範囲内で投入資源を最大限循環させることで新たな資源投入をゼロに近づけるという 「サーキュラーエコノミー」の考え方にも沿っている。世界で使い捨てプラスチック容器包装の2割をリユース可能なものに切り替えるだけで1兆円以上のビジネスチャンスが見込まれるなど*3、この移行は新たな経済価値を生み出すと見られており、国際潮流となりつつあるこの 分野で日本が国際的競争力を発揮していくためにも、以上6項目を提言する。 |
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「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」への共同提言(PDF)